ゴム型を語る。(作成編)


こんにちは。

DirtyKennyです。

こちら岐阜県の多治見市という町にアトリエを構えているのですが、
多治見市と聞いて、「知らん」が7割、「暑いとこやろ」が3割かと思います。

そう、僕暑いの苦手なんですけど、
日本で1番か2番くらいに暑いところに住んでおります。
生まれも育ちも多治見です。

まぁインドア派なので、屋外に滞在するのを最小限にする努力を
して生きています。

多治見にはウナガッパという生き物がいて、
40度を超えると町に出現する、やなせたかしデザインの生物らしかったのですが、
「中の人」に配慮し、今はやってないっぽいです。
今やらせてたら、上の人間はウナガッパにパワハラで訴えられちゃいますもんね。

今日は、「ゴム型」についてです。
ゴム型とは先日の「シルバーアクセサリーの製造工程って説明できます?(量産編)」
でも簡単に説明させてもらったんですが、
アクセサリーを量産する上で、「原型」とならんですっごく大切に扱うべきものです。

「原型」マスターピースですね。これが無くなると同じものは作れなくなってしまう
といって過言ではありません。
「ゴム型」は「原型」を型取りしたものです。このゴム型に、量産用(インジェクションワックス)
を注入して、「製品」は作られます。
イメージでいいますと原型が「父(種)」でゴム型が「母(子宮)」、
製品が「子」という感じです。
差別的な意味合いはないですよ。マジで。
母(子宮)とか書くと、すっごく感じ悪く取られかねないですよね。
めんどくせー世の中。

どっちもすごく大事なもの、かつイメージがつき易いようにこのような表現をしただけです。

まぁゴム型は実際は原型さえあれば、複製できるので少し違うかもしれませんが。

なんかどんどん差別的に聞こえちゃいますかね。
男尊女卑的に聞こえてたらすみません。
「複製できる」とか一夫多妻的な感じにも読み取れますかね。

発言を取り消します。

話を戻して、簡単にゴム型の作られ方を説明します。

大きく分けてゴム型は2通りの方法で作られます。

①焼きゴム
②液ゴム
といいます。(多分業界共通語だと思いますが)

まずは①焼きゴムから。

原型は金属、(基本的には鋳造し、細部修正やある程度の表面処理などをされた
モノが多いです)または熱に強いもの全般。です。
プラスチックなど熱で変形するものでなければ大体いけます。
過去に木彫りモノも型取りしたことがあります。

湯道(鋳造時に金属が通る道)を着ける場合と、
そのままの状態のいっちゃう場合があります。僕はですが。

この「湯道」がワックスを注入する際の道にもなるのですが、
・ゴム型内のおさまり、配置
・原型の都合(素材、ロウ付けが多くされていて火をこれ以上当てたくない、
湯道を付けられる場所が複雑な形状など)
・どうせ湯道とワックスの通り道が共通で使えそうにない
・めんどくさい
などの理由でそのままゴム型を作製し、
ゴムをメスで切り開いた後に、さらに「メスで切って」ワックスの通り道を
作製する場合があります。
メスで切り取った部分はゴム型内で空洞になるので、そこからワックスが
通り抜けていきます。

ゴム型作製に必要なものは、

・ホットプレスマシン
「圧」と「熱」でゴム型を成型するマシン。
温度設定、タイマーがついていて、ゴム型によって微妙に調整したりします。
「圧」は手回しで万力で抑え込む感じです。

・ゴム
焼きゴム用のゴムは各彫金メーカーが色んな種類を販売していて、
「硬い」「柔らかい」「細かい造形物向き」「大物向き」「長持ち」「安いけど劣化しやすいもの」とか
色んなものがあります。
板状のものがほとんどですね。
種類ごとに色分けされているので、
色々試すと色とりどりでいい感じです。
このゴムのチョイスで、インジェクションのクォリティーや作業スピードが変わってくるので、
けっこー大事なところです。
インジェクションもすごく奥が深い作業で、単純にボタン制御でピッみたいな
感じに行かない場合も多々あるので、
「このゴム型では取れないよ。」
(インジェクションワックスを注入することをワックスを取るって言ったりします)
なんてことは多々あります。

・金型
ゴム型を成型する金型です。
基本的には「上板」「下板」「枠」の3パーツです。
枠部分は色んなサイズがあると便利です。原型のサイズに合わせて
変更します。
これも各彫金メーカーが色んなものを販売してますが、
まぁ強度のある金属製の枠であれば代用できたりします。
一番いいのは、縦幅、横幅、高さが調整できる金型があるといいですね。
そんなんないのかな?
細かいパーツ系だと3x2x2センチくらいとか、
バングルのものだと10x10x5くらいだったりします。

・湯口成型用の「三角」
これは僕がそう呼んでいるだけかもしれません。。
インジェクションワックスを注入する注入口が差し込まれる部分です。
インジェクションワックス注入器(ワックスポット)の注入口は
大体のものが共通サイズなので、これに対応した「へこみ」を成型するものです。
先ほど説明した「湯道」はここにつながるように設置します。
「三角」は円錐形で中央に穴が開いた形状になっているので、
その穴に湯道が刺さるように湯道を削ったりする必要もあります。

ワックスの通り道を「メスで切って」作成する場合もここにつながるように
切り取り作成します。

簡単にゴム型作製手順を説明すると、
1.「下板」の上に原型サイズに合った「枠」を置く。

2.板状のゴムを一枚、又は半枚ぐらいの薄さに広げて、枠の中に敷く。場合によってはもっと多く。

3.「三角に湯道を差し込んだ状態の原型」、ワックスの通り道を切って作る場合は、「三角」と「原型」を置く。
「三角」はワックス注入口が差し込まれる部分になるので枠の内側に「三角錐底辺部分」が接するようにセット。

4.原型の細かい場所、隙間になる部分、穴になる部分、空洞部分などにワックスをしっかり押し込む。

5.最初に下に敷いた量と同量程度をかぶせて、隙間ができないようにしっかり押し込む。
枠内に十分に充填される量+αぐらいの量が理想です。

6.「上板」を上に置く。枠よりゴムははみ出ているので、ゴムに乗っかってる状態。

7.ホットプレスマシンに挟み込み、手回しで圧をグッとかける。この時ゴムがはみ出るくらいでちょうどいいです。
はみ出しすぎももったいないですが。。

8.電源を入れて、タイマーセット。大体一時間、10分徐冷後、水で15分程度冷やす。ってやってましたが、
正直、徐冷は必要かわかりません。ゴム型の持ちの良さ向上の為かも。

9.十分に冷えたら、上下板を外し、ゴムを枠から外すのですが、けっこーパワーがいります。
パワーとコツがいります。でかいゴム型とかは割と大変です。

10.はみ出たゴムのビラビラがついているので、ハサミでチョキチョキします。
この時はみ出ている側が「上板」側です。後の作業でこの向きが目安になったりするので、割と重要。

11、三角を「ヤットコ(彫金工具)」や「ラジオペンチ」などで抜き取る。

12、三角がはまっていたへこみから医療用のメスでゴム型を分割していきます。
この作業はゴムを切った部分から、広げながら徐々に徐々に切り進めていきます。
ゴムは当然、元の形状に戻ろうと力がかかるので、専用のクリップで広げながら切り進めるか、
二人掛かりで広げながら切り進めるかどっちかです。
これを無理に一人でやろうとすると厳しいかもです。クォリティーも多分下がります。
僕はいつも二人掛かりで、することが多かったです。
加減しやすいので。
勿論、「切る側」「広げる側」どちらもするのですが、広げる側の時に、
初心者とペアを組むと、メスで指をイかれないか、そーとー不安です。そしてたまにイかれます。

この辺もかなりいろんなコツがあり、ゴム型として使いやすさに影響する部分なので、
大事な作業です。
明日の「使用編」でもこの辺には軽く触れることになると思います。

13.「2分割」又は「複数分割」又は「分割しきらない場合」など使いやすい形状になり、
原型をゴム内から取り出せたら、ゴム型の出来上がりです。
to-c.jpg
ゴムの塊の中には「湯口」「湯道」「湯口」型の空洞ができました。
*湯道を切り取って作成する場合にはこのタイミングで「湯口空洞」と「原型空洞」をつなげる様に
メスでゴム型を切り取り、「湯道空洞」を作成します。
to-a.jpg
説明がむずい。
分かってもらえた気がしない。

大体こんな感じです。
これは「焼きゴム」の作成方法です。

次に②「液ゴム」。と行きたいのですが、
正直いってあんまり自分で作ったことないというのと、使ったことないので
分からない部分が多いです。

まず、決定的な違いは、
「加熱しないので熱に弱いものでもいけちゃう」
「液ゴムに比べるとちょい高い(外注すると特に)」
「あまり収縮しない」
「劣化が激しい」
「加圧しない」
とかですかね。

メリット、デメリットがやはりあるようです。

「加熱しない」ということはプラスチック製品でもいける、
はたまたワックス原型の状態でもいけちゃうということです。
例えばめっちゃ急ぎで複数個製品まで作らなければいけない場合、
データ彫りで作成されたワックス原型など、鋳造して細部修正などが必要ない場合、
などには原型鋳造が必要ない分、スピード的にも、場合によってはコスト的にも有効かもしれません。
それに、収縮しないのは原型イメージと製品イメージのサイズ感の差が生まれないので、
原型と同サイズで製品にしたい場合、
ギミック部分など、収縮しては困る箇所の複製などで有効です。
ただ、ワックス原型で液ゴムを作製した場合には原型が破損することもあるので、
注意が必要ですね。

また、ゴム型の劣化が激しいとなると大量生産には向かないかもしれませんね。

外注で何度か液ゴム製作を依頼したことはあるのですが、自分で作ったことがないので
作成方の詳細は説明できませんが、上記の様な特性がありますよという話です。

状況によってこの2種類を使い分けることで、「量産」のクォリティーとスピードを
さらに向上することができると思います。
参考にしてくださいませ。

それでは今日はこの辺で。
ではサイナラ。

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